7月20日早朝4時にアメリカで最も有名な女性エバンジェリスト(福音伝道者)、タマラ・フェイ・メスナーこと、タミー・フェイ(Tammy Faye)が亡くなりました。享年65歳。
付けまつ毛と南部訛りがトレンドマークだったタミーは、10歳の時に「神の愛」を感じたとのことで教会の活動に積極的に参加するように。歌が好きで生涯で25枚のゴスペルアルバムをリリースしている彼女に転機が訪れたのは1960年。ノース・セントラル・バイブル・カレッジの学生だったジム・ベイカーとの出会いでした。二人は翌年に結婚し、ミネアポリスからノース・カロライナ移住。パペットを使った子供向けの宗教番組(1964年~1973年)をスタートさせるなどテレビを使い信者に話しかけるというスタイルを確立し、70年代半ばにPTL(Praise the Lord~主を称えよ)クラブを設立し、キリスト教伝道専門チャンネルを立ち上げたのです。
同性愛者やエイズ患者なども受け入れ、大泣きしながら彼らの話を聞くタミーが話題となり、番組はたちまちヒットしました。多くの視聴者がテレビ・ショッピングのように「クレジットカードで寄付を!」という呼びかけに答え(しかも、20ドル、40ドルなど最低寄付金ラインが設けられていた)、彼らは巨額の寄付金を手に入れることになったのです。
エアコン付きの犬小屋に純金バスタブなど、やりたい放題になっていた彼らですが、ジムの不倫をきっかけに全てが音を立てて崩れ落ちてしまいます。不倫だけでなくジムの横領事件や脱税事件など次から次へと発覚してしまったのです。嘆きながら警察に連行されていったジムは1989年、懲役45年の有罪判決を受けます。
1992年にジムと正式に離婚したタミーは、翌年教会建築家で約2万戸以上もの教会を建てたというロー・メスナーと再婚。彼も1996年から3年もの間詐欺脱税罪で投獄されていますが、癌に苦しむ彼女を精神的にサポートするなど夫婦関係はとてもよかったといわれています。
実はローも前立腺癌患者なのですが、放射線治療などを続けており、癌と上手に共存しているのだとか。
タミーですが、1996年3月に大腸癌を発症。治療を受けて完治したものの、2004年3月に肺へ転移していることが判明し、CNNの人気トーク番組「ラリー・キング・ライブ」で手術不可能なタイプの肺癌であることを告白した後に放射線治療をスタートさせました。同年11月30日に再び「ラリー・キング・ライブ」に出演した彼女は治療がうまいこといってキャンサー・フリーになったと笑顔で語り、米MTV系列VH1チャンネルのリアリティー番組「The Surreal Life」に出演し、元気な姿を全米に見せたものの癌は再発してしまいます。
2006年3月に「ラリー・キング・ライブ」で「ステージ4の肺癌」であることを明かしたタミーは、同12月に同番組で自宅でホスピス・ケアーを受けていると語り、今年5月8日自身のウェブサイトで全ての癌治療を停止したことを告げたのでした。
そして、今月19日「ラリー・キング・ライブ」のインタビュー収録をしたタミーは、翌日20日早朝4時に自宅ベッドで天に召されたのです。
最後のインタビューは正直、見ていてとても痛々しいものでした。しかし、彼女自身がぜひインタビューを受けたいと申し出たとのこと。この状態だからこそ、伝えなければならないことがある、と言ったそうです。
150センチという低い身長&ぽっちゃり体型で知られていたタミーでしたが、なんと29キロまで体重が激減していました。インタビューでは「5パウンド(約3キロ)増えたのよ、イエ~イ!」、「チキンスープとライス・プディングしか食べられないけれど、ハンバーガーやポテトを食べたいなぁって思うの」と微笑んでいたものの、「痛みはあるの?」という質問には「常にあるわ。背中とお腹に強い痛みがあるの」「モルヒネを使って痛みを和らげているわ」と苦しそうに語っていました。
「神のみぞ知ることだと思うから余命は聞かない」「死ぬことは怖くない」、人々にどう記憶して欲しい?という質問には「付けまつ毛かしら?」と爆笑した後に「神に仕えるものとして覚えて欲しい」と答え、「人生の何かを変えられるとしたら、何を変える?」という質問には「そんなこと考えたこともないわ」とにっこり微笑んでいました。
彼女は人々に「(心の)平和と喜びを見つけて欲しい」と最後に語りました。そういえば彼女の口癖は「Don't let fear rule your life.」でしたっけ。
身内だけのプライベートな葬儀は21日にゲイの牧師のもと執り行われたとのこと。
色々言われている彼女ですが、生き地獄を見てきただけに近年の彼女の言葉には重みがあるように感じられます。
11年にも渡る癌との闘いを終えたタミー。彼女は今、何を思っているのでしょうか。