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「ばかやろー!なんて冷たい女だ!」
どうやら末っ子の T の声らしい。
それに答えるホストマザーの声、しばらくしてドアがビシャ!と閉まる音。
そして、外からドアをバン!バン!蹴る音がしている。
久しぶりの週末、ゆっくり寝ていようと思っていたのに壮絶な戦いが始まっていた。
しぶしぶベッドから這い出し何事かと見に行ってみると T が家から追い出されたらしい。
彼の荷物は玄関の外に出され、
T は、英語のあらん限りの汚い言葉を使ってホストマザーをののしった。
呆れ顔でわたしが見ていると
「Hiromiお茶飲む?」と聞いてくる。
「どうしたの??」とわたし
「あら、当然なことをしているだけよ・・」と彼女。
「彼は18歳になったのよ。
大学にも行かないならわたしが彼をサポートする理由がある?」
と平静を装いながら彼女は言った。
やかんをコンロの上に乗せ本当にお茶を入れようとしている。
まだ、T は外で叫んでいる。
「家賃を払えばいてもいいことにしたんだけど、もう2ヶ月も払わないのよ」
「えーでも・・仕事も無いんでしょ?」とわたし
「ファーストフードのお店で働けばすぐに家の家賃ぐらい払えるわよ」
やかんの湯気がわたしたちの鼻をくすぐり
お茶が入った。
私達がキッチンテーブルにすわり朝食を始めようとする頃
T は、「こんな冷たい女に育てられたと思うと反吐がでるぜ!」
「二度と家へは帰らないからな!」
と捨て台詞を吐き去って行った。
車のエンジン音が遠ざかっていくのを聞きながらホストマザーは
「ホッ・・」とため息をつきお茶をすすった。
こんな光景は日本の家庭には、あまり見かけないのでわたしはびっくりしたが
これが当然のやり方らしい。
だから
パラサイトシングルだとかニートだとかいうのはアメリカ社会にはあまりいない。
大学に行かないたいていの子ども達は18歳になると自分で仕事を見つけて
家を出て行くことになっている。
末っ子の T は、子ども時代はすごーくかわいかった。
わたしが、初めて彼に会ったのは彼がまだ14歳の時だった。
枕を抱えまだ幼さが残る金髪でくるくると良く動く目を潤ませながら
「マミー!」なんて毎朝お母さんとハグしていた。
あんまりかわいかったから みんなが甘やかし
本人もすっかり甘えて生きてきた。
勉強もしない。バイトもしない。遊び放題!
みんながたくさんお説教もしたけど効果はなく
この期に及んで家から出て行かない18歳となったのだ。
でも、今度と言う今度は誰も彼を甘やかしたりしなかった。
「ここで甘やかしては、本当に彼のためにならない」とみんなが思ったから
厳しい社会に ポーンと放り出した。
それでも、時々お母さんがいない時を狙って帰ってきて
食べ物を勝手にあさっては出て行ったけど・・。
しばらく、T は 友達の家やアパートを転々とした。
友人達にもあきれられたのか 仕事を見つけて自分のアパートに移った。
そして、ちゃっかりとクリスマスや長い休日には 帰ってきて
「マミー」と甘えた声を出してホストマザーにハグしているのだ。
「二度と家へは帰らないからな!」なんて捨て台詞はどこへ行ったやら?
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ああ、なんて素敵なマミー!
子供のほうも、ちゃんと分っているからこそ
戻ってくるのよね。
ブラジルも似たような感じですよ~
でも、男の子には18歳になると徴兵制なので、
定員オーバーにならなければ二年お勤めをしなきゃいけないので、家を出ることになるのです。
選考した学科にもよるけれど、大学に通っている人が実家に止まることは多いですね。
時間に余裕のある学科だと大抵仕事をしながらとかで、自立を図っていますね。